抄録
近年,ナマズは一時的水域における産卵場所の減少と産卵場所への移動阻害により生息数は減少している.本研究では,栃木県宇都宮市における圃場整備後の小排水路を対象に,ナマズの産卵から稚魚までの成育過程を調査し,繁殖および成育場所として成立する要因を考察した.小排水路はコンクリートフリューム構造で,水路内には複数の落差工が存在する.しかし,水路底には泥が堆積し,水位差は降雨によって一時的に解消することから,水路はナマズの繁殖場所として機能していたことを確認した.幼魚は1ヶ月間で全長は約2.6倍となり,その後接続河川へ降下した.水路は成育場としても機能し,このことは幼魚の餌生物が豊富であることや泥底が存在に関連するものと考えられた.