農業農村工学会論文集
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研究論文
登熟期の冷水掛流し灌漑による稲体温度・群落内気温・地温の低下効果
西田 和弘宇尾 卓也吉田 修一郎塚口 直史
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2014 年 82 巻 6 号 p. 373-381

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抄録

水稲の登熟期に常時掛流し灌漑試験を行い, 冷水掛流し灌漑による水田水温の低下が群落内気温・地温に与える影響を調べた.また, 夜間・昼間掛流し灌漑試験時に稲体温度を測定し, 水温低下が稲体温度に与える影響を調べた.その結果, 水温低下に伴う稲体温度・群落内気温低下は, 下部では大きいが, 上部では小さいことがわかった.昼夜を区別せずに求めた1℃の水温低下に対する稲体温度低下は, 高さ30cmで0.54℃, 50cmで0.34℃, 70cmで0.28℃, 90cmで0.11℃であった.また, 水温低下による群落内気温低下効果は, 風速が強いほど小さくなった.一方, 地温は, 水温低下によって稲体温度や群落内気温よりも大きく低下した.平均地温の低下は, 表層に近いほど大きく, 日平均水温1℃の低下に対し, 深さ1cmで0.86℃, 4cmで0.80℃, 9cmで0.73℃であった.

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© 2014 公益社団法人 農業農村工学会
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