抄録
平成23年9月に紀伊半島を襲った台風12号は三重県紀宝町において,土砂災害,洪水による浸水などの多大な被害をもたらした.紀宝町相野谷川流域では,水防災対策事業により作られた輪中堤を越流する想定外の浸水被害が生じた.本報告では,相野谷川流域の鮒田地区自主防災会長へのヒアリングと紀宝町役場職員へのヒアリングから,この災害時に自主防災組織が果たした機能と課題を報告した.また,自主防災組織を支える紀宝町の公的役割について整理した.その結果,想定外の災害では輪中堤などのハード対策に関わらず自ら避難する意識が必要であること,自主防災組織の平時の活動が避難活動で効果を発揮したこと,災害時の共助では2次被害の可能性がありあらかじめ救助限界を定める必要があること,紀宝町の自主防災組織間の連携訓練が早期復旧に効果的であったことが分かった.