農業水路の生息場環境の改善や生態系に配慮した水路設計において,メダカの生息を考慮するため,メダカの遊泳能力を明らかにすることを目的とする.屋内に設置した循環式の小型の長方形断面水路を用いてミナミメダカの臨界遊泳速度を計測した.水路には断面平均流速2~36cm・s-1の範囲で通水し,標準体長1.3~2.8cm(平均2.1cm,104個体)のメダカを供試,遊泳させた.その結果,(1)ミナミメダカの60分間臨界遊泳速度(60分間CSS:V60CSS)は,5~19cm・s-1であった.60分間CSSと体長との間には正の関係が有意(p<0.01)に認められ,V60CSS=6.6BL-2.3(BL:体長)の回帰式を得ることができた.(2) 60分間CSS を体長の倍数で表すと,3.0~9.0倍(平均5.5倍,標準偏差1.2)となった.