抄録
畑地灌漑計画において, 土壌水分消費量や圃場における灌漑水量を決定する上で重要なパラメータである有効土層について, 土壌中の水フラックスを用いて定義した.従来の定義に比べ, 水フラックスを用いた定義の方が実態をより反映していると考えられた.この定義に基づいて有効土層深を決定する方法を具体的に示すため, 数値シミュレーションソフトウエアのHYDRUS-1Dを用いて新潟県津南町に位置するユリ栽培試験圃場における土壌水分量のデータから, 同圃場の有効土層深を決定した.その結果, 有効土層深は試験圃場における主要根群域の20 cm よりも深い35 cm と推定された.この深さは, 連続干天期間に土壌水分量の減少が著しい深さとほぼ一致した.試験圃場では24時間容水量の時点で下方浸透量が少なくなるため, 両者が一致したと考えられた.