抄録
流速に比べて圧力伝播速度が著しく大きい管水路流れの数値解析では,圧力に関してのみ陰的に扱うと,時間ステップの制限が緩くなり,計算効率も高くなる.本研究では,基礎方程式を移流段階と非移流段階に分け,移流段階では3次精度の離散化スキームであるCIP法を,非移流段階ではSMAC法に基づく離散化手法を導入し非定常流解析手法の構築を行った.その結果,定常状態解析において高精度で安定的な解析結果が得られた.また,水撃圧解析においては,既存の手法であるLeap-Frog法にみられた圧力の高周波成分での振幅の増大が本手法には見られず,各地点の最大圧力もLeap-Frog法に比べてやや小さい結果となったが,概ね妥当な結果を得た.この高周波成分の増大は離散化に伴う数値誤差であると考えられるが,今後,実測結果と比較するなどして,詳細な検討が必要である.