本報では,年間約3,000m3 未満の消化液生成量のメタン発酵施設を小規模施設と位置づけ,消化液の液肥利用の対象農地を水田,消化液の施用方法を流し込み法に限定するという条件下で,消化液の輸送・施用作業を検討した.基肥と追肥への消化液施用の対象面積配分において,消化液貯留槽の必要貯留容量を最小とする条件を探索すると,消化液施用の総面積に対する基肥での消化液施用の面積の割合(α)が0.12~0.62の範囲との結果を得た.数値そのものは諸条件で変化するが,消化液貯留槽の必要貯留容量が最小となるαはある程度の幅を有すると考えられる.散布車散布法で代替可能な基肥作業について,流し込み法と散布車散布法の作業を比較した結果,本報の条件では流し込み法が必要な労務量も車両台数も少なくて済むとの結果を得た.