2016 年 84 巻 3 号 p. I_233-I_240
コンクリート製農業用水路の水理性能低下は,粗度係数を判断指標としている.この粗度係数の推定には,コンクリート面の算術平均粗さが用いられる場合がある.本研究では,算術平均粗さの計測について,空中超音波の反射波の最大振れ幅が壁面の粗さによって異なることに着目し,空中超音波を用いた計測法を検討した.検討項目として,測定結果のばらつきの影響,算術平均粗さと反射波の最大振れ幅の関係,測定領域についての検討の3項目について検討した.その結果,空中超音波の反射波の最大振れ幅はコンクリート面の算術平均粗さを精度よく推定することができることが明らかとなった.また,測定結果の最大振れ幅をKirchhoffモデルと比較した結果,最大振れ幅はモデルと比較的よく一致し,Kirchhoffモデルを用いて定量的にコンクリート面の二乗平均平方根粗さや相関長が計算できる可能性を示した.