中国新疆ウイグル自治区北部地域に位置する遊牧民定住村の灌漑農地で発生している塩類集積地3箇所を対象に, 現地調査ならびに灌漑用水と地下水の分析および標高の異なる塩類集積土壌の物理化学性の分析を行い, 塩類土壌の特徴と塩類集積メカニズムを検討した.調査地は年間降雨量に対しパン蒸発計による年蒸発量が約10倍となる乾燥地域であり, 地表面から深さ1 m未満の地下水に含まれる塩類が蒸発に伴い下層から地表近傍へ移動し析出していることが示唆された.塩類土壌は標高の高さと粘土含有量の低い順に塩性土壌と塩性ソーダ質土壌に分類され, 地表面に析出している塩の大半は溶解度の高い硫酸ナトリウムであることが確認された.