抄録
魚道設計に資する底生魚の遊泳能力に関する知見を得ることを目的とし,河川遡上期の小型のウキゴリ類を対象に,腹鰭の吸盤による吸着が困難な高流速条件下における遊泳実験を行った.本実験結果から,底面吸着を行わないウキゴリ類の遊泳速度と遊泳時間の関係および流速と前進距離の関係について検討した.結果を以下に示す.1)体長3cm台のウキゴリ類の遊泳速度と遊泳時間の関係を表す実験式を得た.2)体長3cm台のウキゴリ類の遊泳能力をSAI値によって評価した結果,同程度の体サイズのシロウオ,ドジョウ,メダカに比べて,やや遊泳能力が高いことがわかった.3)体長3cm台のウキゴリ類が吸盤を利用せずに前進できる距離と流速の関係を明らかにした.流速83cm・s-1以下の条件では,67%以上の個体が50cm前進可能であった.