抄録
2012, 2013年に石川県七ヶ用水4-1, 4-2号支線の用水を使用する6枚の水田において, 登熟期の水深, 水温, 地温変化を測定し, 圃場の水管理に伴う水深変化が水田水温・地温に与える影響を調べた.この結果を用いた重回帰分析により, 登熟期の水田水温(最高・最低水温)・水温の日振幅を, 水深, 気象条件, 初期水温, 出穂後の日数から予測する経験式(RMSE:0.49 ℃(最低水温), 0.81 ℃(最高水温))を作成した.これらの式より, 水深変化と, 最高水温・最低水温・水温の日振幅との関係を求めたところ, 平均水深1 cmの低下で, 最高水温・最低水温は, それぞれ, 0.01±0.10, 0.18±0.05 ℃低下, 水温の日振幅は0.16±0.12 ℃増加することがわかった.また, この結果と, 土壌中の熱伝導方程式を用いた解析により, 深さごとの地温振幅, および, 水深変化と地温振幅変化の関係の予測式を提示した.