本研究は,末端排水路に流入する土地利用別の単位流出量をもとに,都市化に伴う流域流出量の変化について検討したものである.石川県の手取川扇状地を流れる倉部川流域約17.5km2を対象に,10分間降雨資料の得られる21降雨イベントについて分析した.その結果,宅地等の面積割合が1976年から2009年の間に,約23%から約48%に増加し,ピーク時の流域流出量は約2倍に増大していることが推定された.さらに,都市化に伴うハイドログラフの変化,調整池の設置によるピーク流出量の変化,単位流出量と推定流出量の関係を例示すると共に,合理式による洪水推定量と本方式による推定流出量の関係を論じた.また,本流域内に試験地を設定し,実測流量と推定流量を比較することにより本理論の正当性が検証された.