2023 年 23 巻 10 号 p. 517-524
ポリフェノール類は,芳香環に2つ以上の水酸基を持つ化合物の総称であり,植物に広く含まれる二次代謝物である。近年では様々な機能性が報告されているが,共通して強い抗酸化性を有することが知られている。抗酸化性はポリフェノールの酸化反応を意味しており,その過程でその化学構造は大きく変化する。この変化は生体内だけでなくポリフェノール類を含む食品の保蔵や加工中でも起こっていると考えられる。本稿では,特に食品加工や保蔵中におけるポリフェノール類の酸化反応に着目して,その化学構造の変化と反応メカニズムについて紹介する。