抄録
GISソフトウェアVIMSの試用実験を事例に, 土地改良区職員の技術受容に関する心理的プロセスを質的研究法により検討した.半構造化インタビューにより得られた発話を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した結果, 技術受容に関する要因として, 〈土地改良区が抱える内的要因〉〈土地改良区の背景〉〈技術的要因〉〈開発者からの外的作用〉〈信頼関係〉の5つのカテゴリーが生成された.技術受容の仮説を検討した結果, 1次的要因として〈技術的要因〉, 2次的要因として〈開発者からの外的作用〉と〈土地改良区が抱える内的要因〉, これらの根底にある要因として〈土地改良区の背景〉があると考えられた.今後土地改良区において技術受容を促進するためには, 職員との〈信頼関係〉を構築し, 土地改良区の現状と課題を共有して協力関係を築くことが重要と考えられた.