日本補綴歯科学会誌
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◆シリーズ:補綴装置および歯の延命のために Part 3 -根尖部病変の診断・治療・予後-
根尖病変の予後とその後の補綴治療
田中 利典
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2014 年 6 巻 4 号 p. 374-379

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抄録
 根管充填歯では,歯の質そのものには変化は生じていない.辺縁隆線の喪失,歯髄がないことで生じる咬合力の制御機能低下が,保存困難となる危険性を高めている.また,細菌漏洩を確実に防ぐことができないため,歯冠側の封鎖は重要である.
 根尖病変は高い確率で治癒に至らしめることが可能であるが,術前の根尖部エックス線透過像の有無や穿孔などにより,予後や成功率が悪くなる.
 支台築造は可能な限りすみやかに行うことが望ましい.その際象牙質はできるだけ保存し,またポスト孔形成のための根管充填材除去には配慮が必要である.
 支台築造の後の補綴処置では,プロビジョナルレストレーションによる経過観察が有効である.根管充填歯を口腔内で長期に機能させるためには,質の高い歯内療法と補綴治療が欠かせない.
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© 2014 社団法人日本補綴歯科学会
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