農業用水路壁の粗さを定量的に評価する手法として,空中超音波法は超音波の壁面からの反射波の最大振れ幅を計測することで面的な計測を可能にしている.風速による影響を検討するために,風洞装置により風を発生させ,最大振れ幅を風速毎に計測し検討を行った.風速の増加にともない最大振れ幅は減衰を示し,無風時から風速10m/sの最大振れ幅の減衰率を計算すると,滑面は4.4%,粗面(算術平均粗さRa: 0.32mm)は7.2%,粗面(Ra: 1.04mm)は11.1%となった.算術平均粗さを推定した結果,風速4m/s以下のとき算術平均粗さへの影響は小さかった.風速8m/sのとき算術平均粗さを0.1mm程度大きく推定した.反射波における理論式の提案と実測値との比較は,滑面では理論値と実測値は比較的近い値を示した.粗面では理論値に比べ実測値が散乱波の影響で小さくなる可能性があることがわかった.