熊本地域においては上水の水源として地下水が利用されており,地下水保全が重要な課題である.白川中流域に位置する大菊土地改良区の受益圃場からの地下浸透水は重要な地下水涵養源であり,その涵養量を増やすために,休閑期の転作田への湛水が行われている.これにより水稲作のみに対応した水利用から水田湛水事業に対応する新たな水利用となったが,その水利用実態は明らかでない.そこで,現地調査,数値計算,GISを用いて水利用実態を明らかにした.その結果,水利システムの中流部に減水深が大きい圃場が分布していること,6~8月に水利用量が多いことが分かった.また,上流部の受益圃場では節水的水利用が行われていることが分かった.このようにGISを活用して水利用の現状を把握することは,新たな水利用に対応するために有効である.