水田の高度利用化に伴い, 水田におけるムギ作やダイズ作の生育初期に生ずる湿害が問題となっている.その対策として, 暗渠排水施設のない地区, 特に中山間地域においてはチゼルプラウを使用して耕起する事で圃場の排水性を高める栽培方法が試行されている.なお, 高度利用化においては輪作体系内に水稲作が含まれており耕盤を残す必要があるため, 水田の畑地転換とは異なる.本研究においてはチゼルプラウ耕実施区と慣行区において根域深度の土壌水の吸引圧を観測し, チゼルプラウ耕が畝の土壌水の吸引圧を比較的高く維持し, 湿害緩和技術となりうる事を明らかにした.