2020 年 88 巻 2 号 p. II_87-II_93
青森県内にあるため池堤体の材料強度特性【内部摩擦角(φ),粘着力(c)】等を,在来型一面せん断試験(DST)と現場ベーンコーンせん断試験(VCST)で検討した.ため池堤体材料の主な物理的性質【自然含水比(ω),細粒分含有率(Fc),乾燥密度(γd)】から,堤体盛土の多くはため池周辺部の地盤材料を利用して築堤されてきたことが想像できる.DST結果では,垂直応力(σv)の増加に伴って,せん断応力比(τ/σv)は0.5付近に収束し,垂直変位量の多くは圧縮側へ変位する傾向にあった.VCSTでは,τ/σvのバラツキが大きく,現状での試験結果の精度には問題があると考えられる.DSTの内部摩擦角(φd)とVCSTの内部摩擦角(φv)による相関性は見受けられなかったが,DSTの粘着力(cd)はVCSTの粘着力(cv)と比較して全体的に大きかった.また,Fc/ωに対するφd × γdの相関性が一定程度確認できた.