本研究は,生物膜法の農業集落排水処理水について,供用施設(22施設)のデータに基づき,灌漑利用の観点からみたISOガイドラインの水質基準の達成状況を調査し,望ましい運転管理を考察した.処理水のBODとSSの濃度には,接触ばっ気槽の流入水濃度,水量負荷,及び,ばっ気強度が関与し,処理水のBODは通常の運転管理でカテゴリーCをほぼ満足している.ばっ気強度を3m3∙m‐3∙h‐1程度とし,接触ばっ気槽流入水のBOD濃度を30mg∙L-1程度に管理すれば,処理水質はカテゴリーBを確保できる可能性が高いものの,カテゴリーAにするためには,より高いばっ気強度での運転や清掃・堆積汚泥引抜き頻度の増加が必要である.大腸菌群数は,処理水中に残留塩素濃度が0.1mg∙L-1検出されればカテゴリーBを達成できる可能性が高く,灌漑利用には残留塩素濃度への注意が重要である.