農業農村工学会論文集
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研究論文
生物膜法の農業集落排水処理水の灌漑利用からみた水質と運転管理
中野 拓治治多 伸介山岡 賢
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2020 年 88 巻 2 号 p. I_203-I_212

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抄録

本研究は,生物膜法の農業集落排水処理水について,供用施設(22施設)のデータに基づき,灌漑利用の観点からみたISOガイドラインの水質基準の達成状況を調査し,望ましい運転管理を考察した.処理水のBODとSSの濃度には,接触ばっ気槽の流入水濃度,水量負荷,及び,ばっ気強度が関与し,処理水のBODは通常の運転管理でカテゴリーCをほぼ満足している.ばっ気強度を3m3∙m‐3∙h‐1程度とし,接触ばっ気槽流入水のBOD濃度を30mg∙L-1程度に管理すれば,処理水質はカテゴリーBを確保できる可能性が高いものの,カテゴリーAにするためには,より高いばっ気強度での運転や清掃・堆積汚泥引抜き頻度の増加が必要である.大腸菌群数は,処理水中に残留塩素濃度が0.1mg∙L-1検出されればカテゴリーBを達成できる可能性が高く,灌漑利用には残留塩素濃度への注意が重要である.

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© 2020 公益社団法人 農業農村工学会
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