厚真川流域では,平成30年北海道胆振東部地震に起因する大規模な斜面崩壊により濁水が発生し,農業用水への影響が懸念された.そこで,厚真川本川にある4ヶ所の頭首工で濁度の連続観測を実施し,濁水状況を把握するとともに,農業用水の取水管理方法を検討した.その結果,非灌漑期は各観測地点のSS濃度の最大値と支川流域の崩壊地面積率に対応する関係がみられた.それに対して灌漑期は農業用頭首工による滞留効果の影響が加わることで,非灌漑期と比べSS濃度のピーク遅延効果と急激な上昇を低減させる効果がみられ,SS濃度の最大値は上流から下流へ頭首工を流下するごとに段階的に低下した.濁水取水を回避する,もしくは影響を最小限に抑えるための減災対策として,取水操作の目安となる時間を算出し,取水口ゲートを開閉する判断材料となるような農業用水の取水管理方法を検討した.