腐食劣化が進行している鋼矢板護岸において矢板材の変形を評価することは,施設の維持管理の観点から不可欠である.本稿では,農業用の切梁式鋼矢板水路を対象に,画像解析による図形検出手法のひとつであるハフ変換を用いて鋼矢板護岸の傾斜角度の推定を試みた.解析的検討では,鋼矢板護岸のディジタル画像に対して直線検出を行った.検討の結果,水路内の画像では鋼矢板だけでなく,笠コンクリート,切梁,および断面欠損箇所を中心に直線形状が検出された.ハフ変換より求めた鋼矢板の直線形状に対する傾斜角度から,実測角度の推定が可能であることが確認された.ディジタル画像を用いて鋼矢板護岸の傾斜角度を評価できる可能性が示唆された.