土壌水分量が凍結過程にある黒ボク土中の熱移動に与える影響を調べるため,異なる初期液状水量(θinit)の黒ボク土を用いて,一次元カラム凍結実験を行った.θinitが大きいほど土中の温度・液状水量の低下や氷の生成は緩やかになり,同じ冷却時間であっても凍結深は浅くなった.また,凍結にともなう非凍結層から凍結層への水分移動量は,非凍結層の不飽和透水係数に大きく依存することが明らかになった.次に,実験結果に熱量保存則の差分式を適用し,顕熱・潜熱成分,総熱フラックス,土中熱フラックスを求めた.顕熱成分はθinitによる差が小さく,潜熱成分はθinit依存性が大きかった.総熱フラックス・土中熱フラックスはθinitが大きいほど大きくなった.水分移動にともなう熱の移流は,総熱フラックスに対する1割未満と小さく,θinitによる差も相対的に小さくなった.