青森県津軽地域は積雪寒冷地にあり, リンゴの一大産地として知られている.本研究は, 当地域の礫質褐色森林土におけるリンゴ園土壌中の物質・エネルギー輸送現象を理解することを目的に, フィールドモニタリングシステム(FMS)を適用することで, 2016~2020年の土壌水分・電気伝導度・地温の周年変化の特徴を把握した.土壌水分の特徴に着目すると, 2016~2019年の観測期間中において, 土壌水分減少量の積算値(ΣΔTSM)に増加傾向が認められ, 当リンゴ園土壌が乾燥過程にあったことが示された.土壌溶液の電気伝導度は, 測定の適用限界である体積含水率が0.1 cm3/cm3を下回ったことを受けて, マトリックポテンシャルが-4,000 cmH2O(pF 3.6に相当)に至ると, 時間経過に伴って見かけ上の急増が認められた.また, 春先の施肥の影響は電気伝導度の観測結果には現れにくかった.地温の特徴については, 積雪期間中に積雪が断熱の役割を果たすことで, 非積雪期間の地温変化と比較して変動が小さく, また, 融雪期終盤では融雪水の降下浸透を受けて10~100 cm深の地温が短期間で低下し, 深部ほど地温低下が著しくなることがわかった.