イノシシの生息地の集塊性・連結性分析に基づくコリドー分断柵の設置を現場に適用し,その被害対策効果を検証した.その結果,耕作放棄地は面積が小規模であっても生息地の集塊性を向上させる可能性があるが,生息地の最大クラスターを効果的に分断できる部分に「コリドー分断柵」を設置することにより,生息地の連結性を下げることができることを示した.また,センサーカメラによるイノシシの出没頻度調査,捕獲個体数調査,アンケート・聞き取り調査により効果を検証した結果,「コリドー分断柵」と捕獲の相乗効果により,イノシシの被害や出没頻度が大幅に低下しただけでなく,その後に捕獲個体数が減少しても被害や出没頻度を地区全体で継続的に抑え込む効果があることも確認した.