本研究では,中山間地域の農業を支える用水路の機能性評価に資することを目的に,用水路における直線距離に対する水路距離の乖離に着目した新しい指標として水路迂回度を提案した.まず,幾何学的な仮想用水路により指標の挙動を検証した.次に,189本の実際の用水路に適用して,谷や尾根など地形による水路の迂回との関係を検討した.その結果,水路の迂回度合いの大きさと,迂回数の増加につれて大きくなること,実際の用水路において谷や尾根によって迂回している様が数値化されていることを確かめた.加えて,この指標を用いて用水路の水路延長および取水口標高との関係を検討したが,明瞭な相関は得られなかった.