農業農村工学会論文集
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研究論文
ガーナ国において植生工が水田水利施設の浸水崩壊耐性に与える影響
團 晴行足立 忠司廣内 慎司AGODZO Sampson
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2022 年 90 巻 1 号 p. I_29-I_36

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抄録

ガーナ内陸低湿地では,農民自らの技術で造成が可能で,かつ持続的に維持管理できる低コスト水利施設の開発が求められている.このため,用排水路や畦畔といった水田水利施設に被覆植物を植栽する補強技術の開発に取り組んだ.土壌表面硬度は無植生が7.3~27.8mmと大きく変動しており,土壌水分は草種によるが植生工の有無に関係なく4.3~37.1%と幅広く変化している状態を把握した.また,湛水時の場合も洪水時の場合も共に,無植生に比べると植生工を施工した施設は崩壊耐性が有意に大きく,浸水崩壊に対する土木構造物の力学的性質を補強できることを示した.さらに崩壊度の小さい順に,オキナワミチシバが4.71g,イヌシバが2.07g,ギョウギシバが2.05gと根の新鮮重が供試体に多く含まれていたことから,根重の多寡によって崩壊耐性を定量的に把握できる可能性を示した.

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© 2022 公益社団法人 農業農村工学会
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