農業農村工学会論文集
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研究論文
ため池群水利ネットワークにおける各ため池の機能別にみた立地特性および管理上の課題
平石 カムイ武山 絵美小林 範之
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2023 年 91 巻 1 号 p. I_89-I_98

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抄録

本研究では,大日川ダム(兵庫県南あわじ市)下流域のため池群を対象に,各ため池の取水源と配水先を指標に,ため池群水利ネットワーク内での機能に応じて各ため池を6類型に分類し,各類型の立地特性および管理上の課題を明らかにした.その結果,ダム受益地にもかかわらず,本地域では周辺の山・河川等から取水してほかのため池へ配水する「集水型」が最も多いことがわかった.また,「集水型」は傾斜地に立地する小規模なため池であり,ダムから比較的遠い場所に立地する傾向がみられた.一方,ほかのため池から取水する「中継型・利用型」は,平地および傾斜地との境界に立地する規模の大きなため池であった.さらに,ため池管理者を対象としたアンケート調査により,「集水型」と「中継型・利用型」では,豪雨対策としての落水の実施や,今後に求められる整備内容が異なることを示した.

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© 2023 公益社団法人 農業農村工学会
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