1989 年 1989 巻 140 号 p. 41-49,a1
前報で導いた蒸発時の土壌水分変化を表す近似解をもとに,水分拡散係数Dを算定する3種類の方法を提案した。それらは,(1)蒸発速度eと水分分布θ(x)からマトリック・フラックス・ポテンシャルφとθの関係を求める方法,(2)土層の平均水分量θと不透層の深さでのθlとの差を表す近似式による方法,(3)減率期についてD(∂)∞d(Ine)/dtがほぼ成り立つことを利用する方法,から成る。土壌カラムの実測値を用いてD(θ)を求めると,各方法によるDはほぼ一致した。また,このDを用いた差分解が元の実測値とよく一致することから,これらのDの算定法が妥当であり,低水分領域の透水性を測定する有効な手段となり得ることを示した。