抄録
貯水用土構造物のフィルタ, ドレーンなどには多くの砂材料を必要とする。沖縄地方では自然に産する砂は, 主としてさんご虫の死骸からなる海砂しかなく, 一部では石灰岩の砕砂も使用されている。いずれの砂もCaCO3から成り, 水中に溶存するCO2と反応して徐々に溶解する。本報ではこれまで明らかではなかった, 通水材として使用する場合の石灰質砂材料の溶解の速さについて述べている。実験には普通水と炭酸水を使用しており, また溶解量は, 実測値と化学分析による計算値の双方で検討している。結果は非常に大きな溶解率を示し, 貯水用土構造物の内部には, 空洞化が起きる懸念から使用できないことが分かった。