コンクリートの耐酸性に関する研究は多いが,わが国でもpH4以下の降雨がしばしば観測されるにいたり,酸性雨がコンクリートの劣化に及ぼす影響の検討が必要となりつつある。
本研究は,その基礎的問題として特に硫酸・硝酸を対象に,コンクリートの結合材として主たる役割を果たすCaイオンの挙動に着目し検討した。その結果,コンクリートの耐酸性についてはpH3を境に劣化の影響が大きいこと,また,劣化の程度をCaイオンの分析,X線回析等から明らかにした。さらに,コンクリートの天然,人工のつららの成分の同定を行った。また,酸性河川の現地調査から,コンクリート構造物の劣化の状況も述べた。