抄録
これまで,希薄な粘土コロイド分散系はニュートン流動を示すと言われてきた。ニュートン流動の特徴は,ズリ速度に対してズリ応力が一義的に決まり,流動曲線が測定時間に依存しないことである。しかし,測定時間丁を広範囲にとって流動曲線を測定した結果,Tが極めて短いとき逆ズリ速度チキソトロピー流動を示し,Tが長くなるにつれてループ曲線は閉じてニュートン流動になることがわかった。この実験結果は,Maxwellモデルに基づく解析結果と一致することから,希薄なNaモンモリロナイト懸濁液の挙動は,本質的にはMaxwell液体としてふるまうことが実験的に確認された。