抄録
農振法による交換分合の成立事例(新潟県新津市・岐阜県大垣市)の分析から,同制度をより有効化する条件として次を明らかにした。(1)同制度の適用には,一定規模以上の具体的開発,農振地域の適正な管理が必要となる。(2)交換原則は農家の資産的土地保有意識と適合させる必要がある。それは地価が低い地域では「等積交換」,宅地水準まで上昇した地域では「等価格交換」となる。(3)交換分合方式では,譲渡所得税・登録免許税のあり方が農家・市町村の意思決定を左右する。(4)集落自治組織は農家の利害調整主体として機能するが,都市化によって従来の組織が崩壊した場合,市町村がそれを補完する必要がある。