抄録
土壌孔隙ステレオ画像中に見られる複雑な陰影形状を画像処理装置のみで3次元的に認識することは困難である.そこで,土壌孔隙陰影を用いて孔隙径を測定する作業はすべて目視で行うこととし,同一孔隙による陰影の組合わせを左右画像から同定し,画像処理装置はそれを支援する形で利用して,その有用性を検証した.まず灰色低地土の水田土壌と,クロボク土の畑地土壌の2種類を供試土壌とし,軟X線撮影した.次に,今回構築したシステムを用いて,土壌孔隙の3次元座標を求め,ステレオ影像を裸眼立体視した場合とほぼ一致することを確認した.このデータをもとに,土壌孔隙径頻度分布と土壌孔隙方向別分布をそれぞれ求め,孔隙構造を定量的に扱う方法を示した.