抄録
我が国では現在、公共工事執行システムが国民の不信に晒され変化と改革を求められている。本論文は、このような変化に関し、公共工事執行システムの一つである契約制度に着目し、文献調査、ヒアリング調査等を通して現状の事実関係の理解に努め、そこで得られた知見に基づいて現状の契約制度の評価を行い、今後のよりよい契約制度のありかたについての提言を行うことを目的とした。評価指標は、公共事業に関わる各主体の契約に対する満足度とした。その結果、満足度は、発注者69%、コンサルタント11%、元請-18%、下請-56%と試算でき、数多くのヒアリング調査で得られた契約が片務的であるという認識が裏付けられた。この結果から “よい契約” ということを考察すると、満足度が高水準で同程度となることだと思われる。この状況を実現するために各主体で取り組むことのできる事項を提案した。