抄録
アオコ (Microcystis属ラン藻) の単一細胞の沈降速度を測定するために, 微粒子の沈降を可視化するための装置が開発された. 本手法の有効性は, ラテックス粒子を用いて沈降管の壁面効果によるStokesの法則の修正およびブラウン運動の影響を定量化することにより確認された. 次に本手法を用いて, 培養したアオコの単一細胞の沈降速度が測定され, その最頻値が0.3μm・s-1であることが明らかにされた. この値はフロックの沈降速度から外挿して得られた細胞の沈降速度の値よりも小さかった. このことによりアオコフロックが成長に伴い, その幾何学的構造をフロック内に細胞を一様に配置した形態から自己相似な形態へと遷移させている可能性が示された.