抄録
海岸被圧地下水における定常塩分侵入問題の反復解法に関する研究を行った. ピカード法と部分ニュートン法を取上げ, 両手法の収束の速さと安定性を比較検討するとともに, 適当な緩和法を用いたピカード法は部分ニュートン法とほぼ同じ収束特性を持つことを明らかにした研また, 数値実験により, 緩和法は塩分輸送式に関してのみ適用するのが有効であり, 流れに対してはあまり意味をなさないことを明らかにした. 同時に収束性を高めるためには反復ごとに緩和係数を適切に変化させる必要のあることも知見した. このための方法としてファジー推論を組入れる手法を提示し, 結果, 従来のピカード法や部分ニュートン法と比べても有効であることを示した.