抄録
胆沢導水幹線用水路において, 落差工下流の静水池での激しい渦から高い水面波が下流に伝播して, 大きな水面動揺が生じている.この水面動揺を, 水路の大幅な改修なしで軽減させる方法を水理模型実験によって検討した.予備実験から逆さ長台形やシート状の浮体を水面に浮かべることによって, 水面動揺を軽減できることが判明したので, 各種浮体の軽減効果を水面形変動の画像解析によって明らかにした.また, 現地水路の1/2規模のテスト水路を選定し, 試作浮体の効果や浮体設置上の問題点を検討した.その結果, 浮体によって水面動揺幅が半減する効果が認められたものの, 浮上式浮体の設置は, 実用上困難であることが分かった.そこで, 浮体を固定することにし, 水理模型実験によって, 多少の流量変動には対応できる適当な据え付け高を決定した.