農業土木学会論文集
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正弦振動流場での沈降速度の低下について
乱流中のフロックの沈降特性 (I)
平松 和昭四ヶ所 四男美森 健原田 昌佳
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1999 年 1999 巻 200 号 p. 179-187,a1

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抄録

カオリンフロックを対象に, 振動流中の沈降特性を数値実験を中心に検討した.まず, 数値実験に必要となるフロックの粒径と密度の関係を沈降実験で把握した.次に, 鉛直および水平方向の正弦振動流を数値模擬し, この振動流中でフロックの運動をLagrange的に追跡することで, 沈降速度の変化についての基本的な性質を検討した.その結果, 振動流中の沈降速度は静水中の値に比べて低下し, この沈降速度の低下は流体の振動周波数と粒径の積が0.1cm/sを越えると生じた.また, このような沈降速度の低下は流速変動に対するフロックの追随性の低下に起因し, 沈降速度の低下は流体の乱れ強度の増大に伴って増加し, 同一の乱れ強度では粒径および流体の振動周波数が増大するほど沈降速度の低下は大きくなった.以上のように, 従来, 砂粒子を対象とした研究で知られていた知見がフロックでも成立することが示された.

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© 社団法人 農業農村工学会
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