農業土木学会論文集
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1999 巻, 200 号
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  • BOD測定用ふらん瓶内流れ場の評価とアオコフロックの酸素消費速度に対する流れ場の影響
    足立 泰久, 根本 幸枝, 小林 幹佳
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 165-170
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    霞ヶ浦から採取したアオコフロックの酸素消費速度に対する流れ場の影響について調べた.酸素消費速度の測定は, 市販のふらん瓶型BODテスターを用いてマグネットスターラーの回転数を変化させながら行い, 流れ場は, 標準的なポリスチレンラテックスコロイド粒子の急速凝集速度に基づいて評価した.実験の結果から, アオコの酸素消費速度は, 平均的な単位質量当たりのエネルギ消散率をεとすると, 1.0<ε<103 (erg/g.s.) の範囲において流れ場の影響を受けないことが明らかにされ, この結果, 市販のふらん瓶型BODテスターを用いてアオコの酸素消費速度を測定することの妥当性が示された.
  • 三原 真智人, 上野 貴司
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 171-178
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    畑地圃場にUSLE標準試験枠を作り, 降雨に伴って表面流が発生するたびに流亡土量と水質を観測した.採取した懸濁水のサンプルをろ過または遠心分離して上澄み水を得て, 懸濁水および上澄み水に含まれる窒素, リン成分を比較して, 土壌侵食が富栄養化成分の表面流出に与える影響について検討した.本研究の結果, 懸濁水中の全窒素および全リン濃度は浮遊物質と相関を示し, 上澄み水中の全窒素および全リン濃度を大きく上回った.無機態窒素については, 浮遊物質との相関はほとんど見られなかった.しかし, 全ての窒素およびリン成分の流出負荷は流亡土量と正の相関を示した.また最も多量の施肥 (628.5kg/10a) を行った試験枠における窒素およびリンの流出負荷は, 他の試験枠を大きく上回った.これらの結果から, 土壌流亡に伴って窒素およびリン成分の流出負荷が増大し, とくに多施肥試験枠においてこの傾向は顕著であることが明らかとなった.
  • 乱流中のフロックの沈降特性 (I)
    平松 和昭, 四ヶ所 四男美, 森 健, 原田 昌佳
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 179-187,a1
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    カオリンフロックを対象に, 振動流中の沈降特性を数値実験を中心に検討した.まず, 数値実験に必要となるフロックの粒径と密度の関係を沈降実験で把握した.次に, 鉛直および水平方向の正弦振動流を数値模擬し, この振動流中でフロックの運動をLagrange的に追跡することで, 沈降速度の変化についての基本的な性質を検討した.その結果, 振動流中の沈降速度は静水中の値に比べて低下し, この沈降速度の低下は流体の振動周波数と粒径の積が0.1cm/sを越えると生じた.また, このような沈降速度の低下は流速変動に対するフロックの追随性の低下に起因し, 沈降速度の低下は流体の乱れ強度の増大に伴って増加し, 同一の乱れ強度では粒径および流体の振動周波数が増大するほど沈降速度の低下は大きくなった.以上のように, 従来, 砂粒子を対象とした研究で知られていた知見がフロックでも成立することが示された.
  • 工事不同意者の土地に対する工事の施行をめぐって
    森田 勝
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 189-197,a1
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土地改良事業の工事は、土地改良法所定の事業開始手続をとった場合には、工事の施行に同意していない者の土地に対しても施行することができるので、工事を施行したことに対して民事責任も刑事責任も問われることはない。
    土地区画整理法により土地区画整理事業の工事を所有者及び占有者の同意を得ることなく施行するについては、同法80条の規定に基づくことが必要であり、そのためには工事対象土地に対し仮換地の指定等による使用収益の停止処分がとられている必要がある。この土地区画整理法80条とほぼ同様の文章の規定が土地改良法123条の2として0設けられているが、土地改良法と土地区画整理法では、法の目的、趣旨、対象、法構成等を異にするので、土地改良事業の工事の施行に関する法律根拠を土地区画整理事業の工事を施行する場合と同様に解することにはならない
  • 藤井 秀人, 桐 博英
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 199-207,a1
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    放水路の排水口である野積海岸について、海浜変形の実態と汀線の変動要因を空中写真と深浅測量結果をもとに分析を行った。また、海浜変形の主要な要因と推定される大河津分水からの流出土砂量に代えて、信濃川流域の洪水計画基準点の日平均流量から算定する出水指数を定義し、出水指数と放水路河口の汀線変動との関係を分析した。その結果、以下の点を明らかにした。(1) 放水路左岸側汀線は、大規模出水が頻繁に発生した期間の翌年は前進し大規模出水がないか少ない期間の翌年は後退する傾向が認められた。(2) 右岸側汀線は、左岸側より1~2年程度遅れて変動し、変動量も小さい。(3) 信濃川洪水基準点の年間の出水規模から翌年の放水路周辺海浜汀線の変動は、年単位で予測可能である。
  • 近藤 文義, 國武 昌人, 野木 芳幸, 小出 かおる
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 209-216
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    分散剤の添加に伴うカオリナイトの粒径加積曲線とゼータ電位の変化を実験的に検討した. 分散剤にへキサメタりん酸ナトリウムの飽和溶液を使用した場合, 添加量が0.15mL/g以上であればカオリナイトの十分な分散効果が得られた。また, 分散剤に15℃ 比重1.023の珪酸ナトリウム溶液を使用した場合, 添加量が0.20mL/g以上であれば十分な分散効果が得られた. しかし, 分散剤にINの水酸化ナトリウム溶液を使用した場合, 添加量が0.40mL/gであってもカオリナイトの十分な分散効果は得られなかった. 一方, ゼータ電位の測定結果から, カオリナイトの安定した分散状態を得るためのゼータ電位は, 少なくとも-35mV以下であることが明らかとなった.
  • 足立 泰久
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 217-222,a2
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    電気二重層の相互作用に関するGouy-Chapman理論の関数形を用いて希薄なナトリウムモンモリロナイト懸濁液の降伏値と固体体積分率の関係を調べた. 提出された関数形はイオン強度によって大きく変化し, 藤井, 安富, 須藤らによって実験的に得られている降伏値の固体体積分率に対する急激な変化率を説明づけることが可能であった. また, 降伏値の絶対値については, 懸濁液におけるモンモリロナイトシートの配向と試料における荷電を有するモンモリロナイトシートの純度を想定して, 固体体積分率に関する補正係数を導入すれば, かなり良好に適合する事が示された. 提出された考え方の有効性はイオン強度とPHを明確にした実験によって示されることが予測された.
  • 北辻 政文, 藤居 宏一
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 223-231,a2
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はごみ溶融スラグがコンクリート用細骨材として利用可能であるかどうかについて検討することである. 試験に用いたスラグは, 電気アーク, 電気プラズマおよびコークスベッド方式により製造された3種類である. 研究の結果次のことが明らかとなった.(1) スラグはコンクリート用細骨材としての物理的, 化学的性質は優れまた重金属の溶出も少なく安全である. 電気プラズマおよびコークスベッド方式により製造されたスラグは潜在水硬性を有する.(2) スラグに含まれるアルミニウムは化学的に安定しているため, スラグコンクリートの膨張は起こらない.(3) スラグコンクリートの強度は川砂を用いたコンクリートと同等かそれ以上であった.(4) スラグを用いたコンクリートは置換率の増加に伴いブリージングが増加する. このため, 置換率の高いスラグコンクリートの凝結時間は遅れ耐凍性はやや低下する.
  • 佐々木 長市, 江成 敬二郎, 小関 恭, 伊藤 豊彰, 中山 正与
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 233-241,a2
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用水の水質浄化 (特に親水公園に使用を想定) に, 産業廃棄物としてその処理対策に苦慮しているカキ殻を用い試験をした。実験は水質の悪化している農業用水を循環させ水質の経日変化を調査した。その結果, 以下のような知見が得られた。
    1) pHの値は全観測期間8前後, 同じく溶存酸素濃度は5mg/L以上となった。浮遊物質濃度は数日で20mg/Lから2mg/Lへと低下した。生物化学的酸素要求量の値も8mg/Lから1週間ほどで4mg/L前後まで低下し, 30日で1mg/Lまで低下した。電気伝導度の改善効果は認められなかった。2) 大腸菌群数は, 5,000MPN/100mLの値が実験開始後数日で1,000MPN/100mLまで低下し, その後もさらに低下する傾向を示した。3) 全窒素濃度は, 1.4mg/Lの値から10日ほどで半分以下の濃度の0.6mg/Lとなり, その後も減少していく傾向となった。特に, NH4-Nの減少が大きかった。全リン濃度は, 初期にカキ殻からの溶出がみられ濃度が上昇し, 10日程で0.20mg/Lになったが, その後は低下し20日目で0.1mg/L, 30日目では0.05mg/L前後まで低下した。4) 大腸菌の減少傾向がみられ衛生面からの浄化が期待される。なお, 事例調査により, カキ殻の溶出による体積減少は, 年5%程度で機能維持のためには7年ほどで新しいカキ殻の補充が必要と判断された。以上の結果より, カキ殻は農業用水の浄化に有用であると判断された。
  • 秋吉 康弘, 田辺 公子, 横田 漠
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 243-248,a2
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ガンジスデルタの地下水は非常に高いヒ素濃度であり, インド西ベンガル州には22万人の慢性ヒ素患者が確認されている。しかしながら, バングラデシュでは, ヒ素汚染地域はもちろんのこと患者の数もはっきりしていない. ヒ素のない水を得るための1つのモデル村として, バングラデシュのシャムタ村を選び, 我々は, 1997/3/26~3/30に生活用水用の全ての井戸のヒ索濃度を調査した。そして, シャムタ村の地下水ヒ素汚染の分布図を得た. また, 地下水の等高線と雨季でのヒ素濃度の等高線を得るために1997/10/8~10/15に再び調査を行った. 上記のような調査からつぎのようなことが認められた. 1) シャムタ村のヒ素汚染はガンジス沖積平野の中で最も高い. 2) 雨季の地下水のヒ素濃度は, 乾季よりも高い. 3) シャムタ村の高いヒ素分布は等高線と地下水の流れ方向との関係から旧河道と一致していると考えられる.
  • 井上 京, 山本 忠男, 長澤 徹明
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 249-256,a2
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    北海道東部の酪農流域河川水質について, おもに全窒素とNO3-Nをとりあげ流域の土地利用や河岸の状況, 河川の形態との関係を明らかにすることを試みた. その結果, 1) 流域の草地率, 2) 流域面積あたりの飼養頭数, 3) 河川改修率, 4) 河川が草地に接している割合, が高い場合に濃度と比負荷が大きくなる傾向が認められた. これらのことから, 1) 発生負荷の総量対策, 2) 点源負荷対策, 3) 面源負荷対策, 4) 自然浄化機能の発揮, 5) 流出経路の対策, などの河川水質対策が地域環境の保全に有効な手段になると考えられる.
  • 稲垣 仁根, 小倉 邦雄, 角田 範明, 近藤 文義
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 257-267
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    新型の自動減圧弁を設置した畑かん用の低圧化パイプラインシステムについて現地試験を行い, 計測結果を数理モデルを用いたシミュレーションにより再現し, 減圧機能の検証を行った。パイプライン末端の分水工を操作した場合の水撃圧の発生状況をシミュレーションにより求めたところ, 末端弁を急閉鎖すると, 圧力波が自動減圧弁を通過して, 上流へ伝播することが明らかとなった. そこで, 水撃圧を抑制するための対策として, 安全弁の設置を検討した. 安全弁の設置位置としては, 減圧弁下流のパイプラインの末端に設置し, さらに減圧弁の上流側に追加設置する方法が有効であるとの結果が得られた. また, 規模としては本管と同口径程度の規模が必要であることが明らかとなった.
  • 中国内蒙古自治区伊克昭盟地域を対象にして
    魏 江生, 山本 太平, 井上 光弘
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 269-275,a3
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1983~1995年に伊克昭盟地方において砂漠緑化のために12万haの飛行機播種のプロジェクトが行われた. この12年間の138播種区に関する調査データのうち, 本地方に適した植物種, 播種量を検討した場合,(1) と (2) の結果が得られた.(1) 飛行機播種に適する植物種は楊柴, 子蒿, 沙打旺, 草木犀である.(2) 種子の大粒化, 発芽促進剤等の処理技術を用いた場合, 少量播種量の6.0~7.0kg/haが望ましい. また, 数量化I類分析手法により, 播種時期, 砂丘占有率, 平均砂丘高度, 播種前植物被覆率と活着面積率との関係を検討した場合,(3) と (4) の結果が得られた.(3) 本地方における飛行機播種に適する時期は5月25日~6月25日である.(4) 飛行機播種に適する立地条件は砂丘高度が0~10m, 砂丘占有率が75%以下, 播種前植物被覆率が12~25%である.
  • 送水系ポンプアップ地区を事例として
    吉田 弘明, 小泉 健, 北村 浩二
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 277-286,a3
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本報では, 畑地かんがい事業費の効率的な運用を目的として, ポンプ送水地区における水利用の計画値と実態との相違に関する現地調査を行い, それに基づいた水利施設の段階的整備方式を提案したものである。本報は, 事業の実施計画に視点を当て, 事業を実施した場合の総合的経済性を, 建設費用と維持管理費用を加えた総経費の節減という視点から実務面で使用される積算単価を用いて検討し, 段階的水利施設整備を実施した方が有利となる設計条件を管口径とポンプの実揚程にて評価することを試みた。その結果, 高揚程の地域 (実揚程で80m以上) では, 今後, 事業実施体制をも含めて地域条件に応じた段階的水利施設整備方式の導入を検討する必要性が確認できた。
  • 大口径たわみ性埋設管による実証試験
    毛利 栄征, 藤田 信夫, 進藤 孝己
    1999 年 1999 巻 200 号 p. 287-294,a3
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用パイプラインにおいて, 開水路を更新して管路化する場合などには非常に大きな通水断面が求められる。最近では維持管理面から多条のパイプを同一溝内に埋設する方法も採られているが, このような並列パイプラインの報告事例は少なく, 現状では1本のパイプを埋設する場合と全く同様に設計されている。今回, φ2400mmFRPM管の二条埋設パイプラインにおいて, 施工時から1年間の現場実証試験を実施した。その結果, 矢板引き抜き時の影響は矢板に近い側のパイプだけに大きく表れること, パイプ側部のひずみは溝中央側が小さく矢板側の80%程度であること, またひずみ分布は矢板側ヘピークが移動して左右のパイプでほぼ対称形を示すことなど, 二条埋設に特有の挙動が認められた。しかしながら施工過程を通じた基本的な挙動は, 1本で埋設した場合と変わらないことがわかった。
  • 1999 年 1999 巻 200 号 p. e1
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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