抄録
炭は木材だけでなく, 有機性の廃棄物を材料として製造可能である.農村から排出される廃棄物を原料とする炭 (以下,「再資源炭」という) の製造は, 廃棄物の減量化・無臭化に優れた処理方法であるとともに, 廃棄物中の炭素の固定化を行うもので, 地球温暖化の防止に役立つものである.さらに再資源炭は, 木炭同様に水質浄化や土壌改良への活用が期待される.このように再資源炭は製造, 利用の両面で環境保全へ貢献が期待できる.このため, 本報では, これまでに行われた多方面の炭に関する研究成果を新たな視点から5つの分野に整理するとともに, 筆者らの再資源炭の研究状況を示し, 残された課題を述べ, 再資源炭を活用した環境保全型資源循環システムの構築に向けての展望を論じた.