農業土木学会論文集
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擁壁受働状態における進行性破壊およびスケール効果の検討
酒井 俊典Erizal宮内 定基
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1999 年 1999 巻 202 号 p. 437-443,a1

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抄録
支持力問題やアンカー問題を対象に、進行性破壊に基づくスケール効果の研究が幅広く行われてきている。しかし、擁壁問題に対するこれらの検討は現在まで十分ではない。本研究では、水平方向に擁壁が移動する受働状態を対象に、密詰め砂地盤における擁壁の進行性破壊および、これに基づくスケール効果について、モデル実験と勢断帯・ひずみ軟化を考慮に入れた弾塑性有限要素解析の両面から検討を行った。モデル実験では、地盤の積上げ高さ5m、10m、15mに対して、擁壁面に設置した3個の土圧計の土圧変化を求めるとともに、ガラス壁面を透して勇断帯の発達過程の観察を行った。有限要素解析では、実験に対応した地盤高さに対し、土圧変化および勇断ひずみ分布を求めるとともに、実験では不可能な、プロトタイプについての解析も行った。実験および有限要素解析の結果、積上げ高さ15m程度までは、実験および解析とも進行性破壊は認められるものの、スケール効果は顕著でなかった。これに対し、積上げ高さが15cmを超えると、解析によってスケール効果が顕著に認められることが明らかとなった。また、積上げ高さ (h) を50%粒径 (d50) で無次元化したh/d50が1000を超えると、スケール効果が顕著となることが明らかとなった。
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