過湿状態がトウモロコシの根系と窒素吸収に及ぼす影響について, 環境制御の可能なグロスチャンバーを用いて実験を行った。2種類の過湿状態 (3cm深の地表湛水と地表面下15cmの地下水位) のそれぞれに4段階の過湿ストレス (
SEW30の概念で定義される90,180,270および360cm-dayの過湿ストレス) を, 出芽後23日目から与えた。2種類の過湿状態のもとでの根の分布, 根長, 根の乾物重および根の窒素吸収等を比較して, それぞれの過湿状態が根に及ぼす影響を分析した。トウモロコシの根の生育状況は, 地表湛水状態のときよりも, 地下水位が地表面下15cmの状態のときの方がはるかに良好であった。窒素吸収量は, 地表湛水状態にある場合, ストレスが増すにつれて大きく減少したが, 地下水位が地表面下15cmの状態では,
SEW30が増大しても目立った減少はみられなかった。本研究により, 排水の悪い土壌においては, 地表湛水を回避し, かつ地下水位を地表面下15cm程度まで下げることができれば, 根群域が過湿な状態であっても, トウモロコシの生長阻害はかなり防止できることが明らかとなった。
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