農業土木学会論文集
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地下水位変動に伴う泥炭土の収縮・膨張について
飯山 一平宮崎 毅中野 政詩井本 博美
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2000 年 2000 巻 205 号 p. 1-11,a1

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抄録

排水に伴う泥炭土の収縮挙動を明らかにするために飽和柱状供試体からの排水を行い、供試体高さ、排水量、各高さでの垂直方向のひずみ、マトリックポテンシャル分布をそれぞれ経時測定した。さらに、マトリックポテンシャル分布変化から求めた含水率分布変化から圧縮応力分布変化を定量的に評価した。また、地下水位変動に伴う泥炭土の収縮・膨張挙動を明らかにするために、排水および給水を繰り返した際の供試体の収縮・膨張挙動を経時測定した。その結果、泥炭土の収縮挙動は、浮力の喪失に伴う圧縮応力の増加によるものであり、(1) マクロボアからの排水を伴う急激な収縮、(2) ミクロボアからの排水を伴う緩慢な収縮、(3) 空隙体積及び固相体積の減少による長期的な収縮の3ステージに分けられた。また、泥炭土の種類による不飽和収縮挙動の相違は乾燥密度、間隙径分布、飽和度、間隙水の持つ負圧の相違により生じていると考えられた。不飽和状態下の膨張挙動は、間隙水の持つ負圧が毛管上昇に伴い減少することによるものと推定された。排水・吸水の繰り返しに伴う泥炭土の長期的な収縮挙動から、残留ひずみによる不可逆的収縮が持続することを認めた。

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