農業土木学会論文集
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傾斜成層法を適用した塩分溶脱効果に関する研究
タイ国東北部塩類集積土壌の事例を基として
遠藤 明原 道宏
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2000 年 2000 巻 210 号 p. 729-734,a1

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抄録
毛管上昇水を作土層に侵入させない事を目的としたカットオフ層を有するタイ国東北部の高畝は, 毛管上昇水の侵入を阻止することができたものの, 上方からの浸透水が上下層境界面付近に停滞し, 塩分除去効果が小さかった。筆者らは, 塩分除去効果の小さい原因が, カットオフ層が水平構造を有していることにあると考え,“傾斜カットオフ層” を着想するに至った。筆者は, 傾斜角度0°~10°の5つの角度において, 2次元流れの浸潤試験・塩水灌漑試験およびリーチング試験のモデル実験を遂行した。その結果, 傾斜角度の増加に伴い, 排出水の塩化ナトリウム濃度が少ボアボリュームで置換濃度に到達した。80%の塩分除去に必要なボアボリュ-ムは, 水平な場合では約1.2であったのに対し, 10。では約0.8と小さかった。2次元流れを1次元流れとして単純化した破過曲線の相当遅延係数は, 傾斜の増加に伴い, 1より小さくなる線形の減少傾向にあった。
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© 社団法人 農業農村工学会
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