抄録
諌早湾奥部で採取した不撹乱有明粘土試料の強度特性について, 圧密定体積 (CU) 一面せん断試験と等方圧密非排水 (CU) 三軸圧縮試験の結果をもとに検討した. その結果, 一面CU試験の場合, 段階載荷による圧密試験から求まった圧密降伏応力の1.5倍以上の圧密圧力で圧密すると, 強度増加率や内部摩擦角がほぼ一定となる正規圧密状態に移行することが分かった. 一方, 三軸CU試験の場合, 等方圧密試験から求まった圧密降伏応力の3倍以上の圧密圧力で圧密すると正規圧密状態に移行した.
正規圧密状態における強度増加率は, 一般的な有明粘土の強度増加率 (0.3~0.4) の下限値に近かった. また, 両試験から求まった正規圧密状態における内部摩擦角は, 同一標高においては比較的よく一致した. さらに, 一面CU試験および三軸CU試験から求まる強度増加率や内部摩擦角と塑性指数との間には, 固有の関係は認められなかった.