脆性材料の割裂引張強度試験および曲げ強度試験における供試体内の弾性的性状を調べる目的で, モルタル供試体にひずみゲージを接着して両試験を行った.円柱や角柱の他に, 円板や角板での実験を行った.割裂試験は, 長方形断面の供試体に対しても行った.実験と考察から次のようなことが判明した.割裂試験における供試体の中心および曲げ試験における中央下面の応力-ひずみ関係は, ほぼ直線であった。供試体のボアソン比やヤング係数を算定するためには, 対象物を平面応力と平面ひずみに区別する必要がある.割裂引張強度は, 供試体と加圧媒体との接触幅に大きな影響を受けるが, その原因は, 加圧部極近傍の引張ひずみ分布の差異から説明できる, さらに, 割裂引張強度と曲げ強度に差異が生じる原因を, 最大主ひずみ説から考察した.角柱の曲げ試験で生じた2つの破断片による割裂引張強度と圧縮強度は, 円柱による両強度と近似した.
