河川や水路では, 掃流力の影響を受けて小粒径で比重の小さい粒子から下流へと輸送され, 次第に粒径の大きい粒子が河床を覆う粗粒化が生じる。本研究では底質の粗粒化に着目して, 粗粒化過程における底質の受食性変化をコンシステンシーの変化に基づいて考究した。さらに粗粒化に伴って砂含有率が増大した底質からの富栄養化成分の流出特性にっいて検討した。河川の粗粒化過程では選択的に粒子が侵食されるたあ, 実験室内における再現が難しく, 本研究では砂含有率を調整して供試体を作成した。
本研究の結果, 侵食実験後の供試体表面の含水比が液性限界を上回って塑性領域から液性領域に変化すると, 底質の侵食に対する抵抗力が低下して侵食量が増大した。また粗粒化に伴う全窒素および全リンの流出特性に変化はなく, 底質の粗粒化に関わらず, 富栄養化成分の流出は浮遊物質の流出に支配されることが明らかとなった。