農業土木学会論文集
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アイスハーバー型魚道における魚類の隔壁遡上特性
赤石川赤石第2頭首工の魚道を事例にして
泉 完高屋 大介工藤 明東 信行
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2002 年 2002 巻 217 号 p. 55-63

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抄録
青森県の赤石川に設置されている赤石第2頭首工のアイスハーバー型魚道において魚類の隔壁通過経路と遊泳魚の切り欠き通過時の遊泳速度, および流速分布特性との関係について実証的に検討した.その結果,(1) 遊泳魚は切り欠き部の越流水脈の中をほぼ一様に遡上すること, 底生魚は吸盤を使って水流が接している切り欠き部の天端や側壁沿いを這うようにして遡上すること,(2) 遊泳魚は魚道水路の側壁部を選好し, 流速変動が小さな140cm/s前後の流速中を遊泳・遡上していること,(3) 潜孔部では, 静穏域である隔壁非越流部や潜孔側壁の背面から, 潜孔内の底面隅各部を選好し, 150cmls-200cm/s (流速変動値10cm/s-15cm/s) の流速の中を遊泳・遡上していくこと,(4) アユおよびウグイであると推測された遊泳魚の通過速度と体長の関係が示され, 体長ごとの遊泳速度は意外と速い190cm/s-250cm/s (3cm≤ 体長≤16cm) 程度であることなどが明らかにされた.
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© 社団法人 農業農村工学会
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