抄録
湛水土壌中散播での種子の土中への埋没深, 特に不埋没となるケースに注目して, それに田面の起伏が及ぼす影響について把握し, またその制御の可能性を均平精度を踏まえながら考察した. 結果として以下の3点を得た. 1) 代かき後の水田の表層硬度は, 起伏によって水面上へ露出した部分で急速に硬化する. またそのことによって田面全体での表層硬度の不均一性は拡大される. 2) 湛水深が増えるとその抵抗によって不埋没率が上昇する. 3) 現行の均平精度基準±3.5cmではある程度の不埋没は生じる. また不埋没の回避のためには均平精度の向上のみでなく, 播種時の湛水深の精緻な制御が必要だが, これらは現実的に容易ではない.
